第63章 敵と家族と境界線
政府から彼女の初期刀だと説明を受けたのは、薄紫色の長髪を靡かせた蜂須賀虎徹という女性と見間違う美しい刀剣男士だった。
不意に彼が私の前に歩み出た。
蜂須賀「…すまなかった。虎徹の真作であるこの俺が、直々に政府に申し出たんだが…少しばかり提案があるんだ」
主「ん?何の事?」
申し出たという意図も理由も、その内容すら分からず担当してくれている政府の彼に視線を向ける。
だが彼は、ただ小さくクスリと笑うだけだった。
蜂須賀「見た所、俺達は貴女が持つ刀剣の中には居ない様だ。どうだろうか、俺達をこのまま君が使ってくれないか?」
…という事は、この子達が私の家族になってくれるって事?
主「大歓迎だよ!わああっ、蜂須賀よろしく!大好きぃぃ!」
蜂須賀「わっ…と、今度の主は感情豊かだな」
蜂須賀に抱き付くと、私を抱き留めて彼は私を見下ろして微笑んだ。
浦島「蜂須賀兄ちゃん、俺達も家族ってやつ…なれんの?」
不意に蜂須賀の後ろから顔を覗かせる山吹色の髪をした男の子。
な、何この子…可愛いっ!
蜂須賀「俺の弟、浦島だ」
主「浦島可愛い!私の家族になってくれますか?」
浦島「うん、なりたいっ!俺も主さんの言う、家族ってやつに!」