第63章 敵と家族と境界線
主「な…え、何で…?」
長谷部「主っ!?御手杵、鶯丸!何故主を連れて来た!?」
唐突に長谷部の怒号が飛ぶ。
刀を振るいながら怒りを露にする長谷部、周りを見渡してみれば圧倒的に此方が有利な数の筈だが…皆苦戦している様だった。
ふと、頭の中で声が響いた。
女審神者「(三日月宗近と太郎太刀…数珠丸恒次を差し出して)」
主「つっ!」
骸の時と同様、吐き気がしそうな程頭の中でガンガンと声がこだまする。
渡さない…。
こんな酷い真似が出来る人の所に、私の家族は連れて行かせない!
同じく念じる様に言葉を返した、彼女を睨み付けながら。
大典太「…強くなったな」
焦げ茶色のおかっぱ頭の短刀の首根っこを掴み、投げ飛ばす大典太。
うん、この子の戦い方の豪快たるや…。
あの子達も…こんな事をして楽しくなんて無い筈だ。
不意に肩に亀を乗せオレンジ色の髪をした、活発そうな男士の刀を弾き飛ばした三日月が私を守る様に背を向ける。
三日月「心配か?あの者達が」
主「一番に心配なのは三日月達だよ…でも……」
鶴丸「ははっ、それでこそ俺達の主じゃないか!」