第63章 敵と家族と境界線
そう言って立ち上がると、二人がそれぞれに私の手を掴んで引き止める。
各々に掴まれ、私の両手は塞がってしまった。
御手杵「なっ…もし違ったら危ないだろ!」
鶯丸「そうだ。何か伝達があるまで待とう、それからでも遅くは無いだろう?」
主「もし、二人が言う危ない事なんだとしたら…私はもう二度と家族を失いたくないの」
私は真っ直ぐに前を見据え、静かに言い放つ。
すると、二人は掴んでいた手の力を緩めた。
そして立ち上がり私の両脇に並べば、鶯丸は刀を抜き、御手杵は槍を構えた。
御手杵「全く、頑固な姫さんだな」
鶯丸「本当に…しかし、其処に惚れた俺も大概だ」
主「惚れ…!?うぉっほん!じゃ、じゃあ…行きますかっ」
惚れた、と鶯丸にさらりと言われてしまえば自ずと頬が熱くなる。
それを隠す様に自分を奮い起たせ、私と二人は審神者部屋を後にした。
皆が集まりやすい場所に、と鈴が取り付けられたのは庭に面した縁側。
漸く其処まで来てみれば、皆が見知らぬ刀剣男士達と対峙していた。
その向こうに見えたのは、見知らぬ女審神者。