第62章 夢と現実
御手杵の額を軽く人差し指で弾いて台に戻ろうとすると、不意に腰に抱き付かれた。
え……起きた?
御手杵「行くな……って…ぐぅ」
後ろを向いて見てみれば、目を瞑ったままでいびきをかく御手杵。
寝てんのかい!!
しかし…御手杵って身体大きいしあまり喋った事無かったけど、結構甘えん坊だったりして。
御手杵「俺は……刺す事以外…能が無いから……」
主「そんな事ないよ。御手杵は皆に優しくて明るくって、一緒に居ると安心する…いっぱい良い所あるんだよ?」
うん?
御手杵の頬が若干紅くなった気が……熱!?
やっぱり、布団も着ないで寝てるから!
私は御手杵と自らの額をくっつけ、目を閉じて熱を測る事に集中した。
いや、熱は無いなぁ。
ふと目を開くと、顔を真っ赤にして固まった御手杵と目が合った。
主「あ、起きた?」
御手杵「ぅ…あ、ああ」
主「…?」
どうしたんだろう?
返事をするも、目を泳がせながら逸らす御手杵。
そんな様子のおかしい御手杵に、私も目を丸くしてしまう。
きょとんとする私の唇に、何処か意を決した様に唇を重ねてきた。
御手杵「…っ」
主「へ?……んぅっ」
唇の感触を確かめる様な、角度を変えながら唇を吸う…啄む様な口付けに頬がかああっと熱くなる。
あまり話す機会の無かった彼の情熱的な一面が垣間見え、胸がぎゅっと締め付けられる様な感覚が襲う。