第61章 優しさ
外から短刀ちゃんや蛍丸など、小さい子達の楽しげに遊ぶ声が聞こえてきた。
その和やかな喧騒に、ゆっくりとだが思考が鮮明になってくる。
瞼を開くと、太郎太刀が優しい笑顔を向けてくれていた。
太郎「お早う御座います」
主「もう夕方だと思うけどね。ふふ…おはよ、太郎」
どちらからともなく、引き寄せられる様に唇を重ねた。
触れるだけの、優しくて甘いキス。
その行為は何だか恋人同士の様で、少し照れ臭く感じてしまう。
主「…あ、起きなきゃ……っ!?」
いったぁぁぁぁぁぁぁっい!!
あり得ない位の激痛が腰に走る。
もう、起き上がる事すら出来ない程だ。
どうしたものか…と考えていれば、不意に猛烈な尿意が襲う。
太郎「…どうかしましたか?」
俯いてしまう私を見て、不思議そうに声を掛けてくる太郎太刀。
いや、言えない。
男の人に、おしっこ行きたいけど立てないだなんて…絶対言えない!
どうしよ~~~っ!?
主「えっと、ぁ-…な、何でもない」
太郎「……?」
一体どうすれば……。
俯いたまま頭を悩ませていれば、不意に声が聞こえてきた。
次郎「兄貴!アンタも、いつまで寝てんのさ!?」
太郎「次郎太刀…」