第58章 内番
主「やま…ぶし…?」
山伏「カカカッ!さて鶴丸殿、早々に片付けてしまおうぞ!」
鶴丸「そうだな!ん…どうした?君、顔が真っ赤だぞ?」
主「な、何でもない!」
顔を覗き込もうとする鶴丸の横を、逃げる様に歩き出す。
すると、不意に腕を掴まれ耳元に近付く鶴丸の顔。
鶴丸「もう…俺は遠慮はしないからな?」
そのまま腕を離し、何事も無かったかの様に山伏と掃き掃除を始める鶴丸。
一体どういう意味だったのか…。
遠慮はしない。そう言った彼の言葉の意味と意図が分からなかった。
私は井戸でペットボトルに水を汲み、タオルを手に手合せ道場へと向かった。
道場に入ると、カン!カン!と木刀がぶつかる高めの音が鳴り響いていた。
見れば、数珠丸と薬研の握る太刀サイズの木刀と短刀サイズの木刀が対峙していた。
真面目だなぁ…二人は私に気付く事も無く真面目に手合せする相手と向き合っている。
ああ、此処ては邪魔をしちゃいけない…そう、私に思わせた。
来る道すがら持って来た冷水の入ったペットボトルと、タオルを置いて道場を後にした。
最後に顔を出したのは、昼食の支度をしてくれているであろう炊事当番の二人の元だった。
主「物吉~、亀甲~…お腹減ったよ~~~っ」