第58章 内番
私を見付けると同時に駆け寄って来る小夜。その後ろから、遅れて近付いて来る江雪。
可愛いなぁ…と、心の内で沁々と呟いた。
江雪「主様、来て下さったのですか…?」
小夜「豆を植えたよ、主は豆…好き?」
主「二人の様子見に来たんだ。っていうか、小夜ちゃんが植えてくれた豆ならどんな豆でも大好きだよぉおっ」
僅かに首を傾けて見せる小夜の仕草が愛らしくて、小夜の体を抱き締めてその頬に頬擦りした。
小夜「主、土が…っ」
主「気にしない気にしないっ」
自らの服が土で汚れている事を気にしてか、小夜は体を離そうとする。
ふと見れば、小夜は不安そうに眉を下げていた。
気になる訳無いよ、こんなに頑張ってくれてる彼らが泥んこになってしまうのだとしたら、私は同じ様に泥んこになりたい。
今度一緒に畑仕事やっちゃダメかな?
暫くそんな和んだ空気を楽しんだ後、私は二人と別れて辺りをうろうろと歩き回っていた。
すると、庭を掃く二名の姿が見えた。
鶴丸「お、主じゃないか!どうしたんだ、今日は外に出ても大丈夫なのか?」
主「私は病人か!っと…ごめんね、今まで皆の事ちゃんと見れて無かった…」
そう言って、私は鶴丸に抱き付いた。
鶴丸「おっと、こりゃ驚いた。この俺を驚かせるとはな、大したもんだ」
山伏「カカカッ、主殿は元気があって良いな」