第58章 内番
主「み…みっちゃん?」
大典太「アンタは…優しいんだな…」
主「…?」
大典太「本当に恐れていたのは、俺かも知れんな。皆に、動物に…疎まれ恐れられてしまう事を」
そんな訳ない。
皆、私の大事な家族。皆一人一人がちゃんと家族である皆の事を想い、日々過ごしている事を見てきた。
私が左右に首を振った瞬間、後ろから声が掛かる。
明石「はいはい、朝っぱらから熱いですなぁ。せやけど、あんま目の前でベタベタされるとほんま妬けてきよるんですわ」
大典太「…っ!?」
主「…っ」
私と大典太は明石の言葉に頬を真っ赤に染めて、互いの手を離した。
主「あ、明石!みっちゃん!わ、私…えっと、畑当番の子達…み、見てくるね!」
そう言って、私は逃げる様に馬小屋を後にした。
明石「…ふう。まあ、何はともあれ…触れる様になって良かったですわ」
大典太「あ、ああ…」
そんな二人の言葉を背に受けながら…。
そうしてやって来たのは畑。
見ると、江雪が耕した畝に種を植える小夜の姿が見えた。
真面目だなぁ…そんな事を沁々と思ってしまう程、二人は真剣に取り組んでくれていた。
主「二人共すごいねぇ、もうこんなに植えたの?」
小夜「……っ、主!」