第58章 内番
暫くして、私は明石と大典太が居る馬小屋に辿り着いた。
主「みっちゃん、国行!どう、調子は?」
緊張しているのか、ガッツリ悪人面になってしまっている大典太。
あはは、可愛いなぁ。
明石「来てからずっとあの調子ですわ。もう、あんま馬に寄らんとやる言うて…」
見れば大典太は馬から離れ、掃除を主にやっていた。
ありゃー…馬が大典太を見ようともしない。
私は彼に歩み寄り、右手を差し出した。
主「みっちゃん、手貸して?」
大典太「…あ?何故だ…って、おい!何するんだ!?」
やはり緊張しているのか、強張ったままの瞳が此方を向く。
私はつい、彼の手を掴んでしまった。
主「えいっ!」
大典太「…っ!?」
手を引いてやって来たのは馬の前、そして馬の頭に大典太の手を乗せた。
馬に触れた瞬間、大典太の手が強張ったのが伝わる。
主「ふふ、お馬さんいいこいいこ」
大典太「……」
私が大典太の手に手を重ね馬を撫でていると、強張っていた彼の手が柔らかく解れたのを感じて手を離した。
大典太「アンタも…撫でろ」
主「…え?」
離した瞬間私の手を逆に掴んで、今度は大典太が私に馬を撫でさせる。
な、何だかこれ…逆にやられると物凄く照れる!!