第58章 内番
外の空気もそうだが、何より皆と笑い合えるのが嬉しかった。
っていうか、これじゃ皆にヒッキーだって思われてしまう。
乱「あ、そうだ!主さんが買ってくれたジュウナンザイ?これすっごく良い匂いがするし、ふわふわになるね!」
陸奥守「おお、そうじゃ!夜寝る頃になるとふわーって香ってきよるき、ええ夢が見れるんじゃ」
主「やっぱり服は着心地が良くないとね、乱ちゃんの肌が荒れちゃったら大変だもん!」
そう言って乱を抱き締め、その柔らかい頬に頬擦りする。
ああ、可愛過ぎるぅぅぅ!
乱「あは、主さんだーい好きぃ」
主「私もだーい好きぃぃ!」
陸奥守「わしは蚊帳の外じゃのう」
主「ふは、むっちゃんもだーい好き!」
そう言って乱を離し、拗ねた様に唇を尖らせる陸奥守に抱き付いた。
急に変えた呼び方に何も言わず、陸奥守は照れた様に後頭部を掻く。その口元がゆるみ、鼻の下が僅かに伸びていた事には気づかなかった。
主「じゃあ私、馬当番の子達見てくるね!」
そう言ってその場を後にした。
乱「陸奥守さん、鼻の下伸びてたよ?」
陸奥守「ほうか?それだけ主がええ女じゃいう事じゃき」
乱「はあ、主さんは陸奥守さんだけのものじゃないんだからね?」
何て、小さな嫉妬心を露にする乱に気付かずに…。