第57章 亀甲と本丸
次郎「お。アンタのそんな顔、久し振りじゃないのさー」
太郎「今までご無理をされていたのです、本日は一日ゆるりとお休み下さい」
他にも、皆は口々に優しい言葉を掛けてくれる。
この中の何人かは、長谷部から亀甲の帰還を知らされているんだろう。
亀甲「ご主人様、入っても構わないかい?」
主「もちろん!!」
私が返事をすると、亀甲は広間へと姿を現した。
加州「やーっと帰って来たんだ?お帰り、亀甲」
右手を腰に添え、首を傾けて笑顔で出迎える加州。
山伏「カカカッ!亀甲殿、よくぞ戻られた!」
包丁「やったぁぁ!これで畑仕事回って来るの遅くなる~っ」
加州に次いで豪快に笑う山伏と、両腕を挙げてぴょんぴょんと跳ねる包丁。
その後も口々に声を掛ける皆に、柔らかい笑みを返す亀甲。
良かった、これで家族が揃った。
私がホッと胸を撫で下ろした瞬間、不意に誰かが亀甲に抱き付いた。
乱「ごめんなさい!!僕が、主さんの優しさに甘えて此処に来なかったら亀甲さんがこんな事にならなかったのにぃぃ!!」
ああそうか…。乱はあの時、骸に操られて左文字兄弟や小烏丸を襲っていた。
自分が居なかったら小烏丸がきっと窮地を脱してくれていた…きっと、そんな事を考えて気負ってしまっていたのだろう。
亀甲は、抱き付いていた乱の肩に手を置いて目を細めた。