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私の本丸

第56章 月輪の神秘(*)




すると、隣に腰掛けていた小烏丸が私の頬に触れた。


小烏丸「その様に頬を染め、我を誘っておるのか?」

主「…え?…んっ……ぅ」


不意に近付いて来る綺麗な顔に、また見惚れてしまう。
すると、赤く艶のある唇と私の唇が重なった。
唇を割り、小さめだが存在感のある長めの熱い舌が口内へと差し込まれる。
舌と舌が絡まり、混ざり合った唾液が口内に溜まり口の端から零れ落ちた。


小烏丸「……っ…ふ」

主「んぅ……っ」


うっすら目を開けてみれば、細められた小烏丸の漆黒の瞳と目が合った。
長い睫毛の下に光る瞳は、まるで野生のカラスに睨まれたかの様に私は目を逸らす事が出来なかった。


小烏丸「…ふう、いかんな。父ともあろう者が、子らに隠れて主に手を出すとは…な?」


漸く唇が離れたと思えば、反省しているかの様な言葉を吐きつつ私の唇の端から垂れた唾液を舐め取る。
その舌の感触すら甘露なる刺激となって、背筋に悦楽の痺れを走らせた。


小烏丸「主よ、今宵は寝待ち月夜よな?」


夕暮れ、茜色に染まる空を見詰めながら、小烏丸は眩しそうに僅か目を細める。
寝待ち月夜、一体どういう意味だろう…?
私が不思議そうにしていると、くすりと笑いながら小烏丸が此方を見る。


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