第55章 夢現
三日月「欠けるというのは…寂しいものだな」
!!!
三日月が放った言葉は、私の内心を射抜く様で。
主「ん……ねぇ、三日月は亀甲にまた会えると思う?」
三日月「会える」
え…!?
私が驚いた顔で見ると…ふっと軽く笑い、横目で私を見る。
三日月「と、言って貰いたいのだろう?」
主「………」
三日月に痛い所を突かれ、胸がズキンと痛む。
皆だって亀甲が居なくなって傷付いている筈なのに、私は私の望む答えを皆に委ね様としていた。
三日月には、それまでも見透かされている…。
主「私に、もっと力があれば…」
三日月「不相応な力は身を滅ぼす。主は十分な力を持っているではないか、故に皆…お主を慕う」
優しい言葉。
でも、私は私自身を許せない。
すると、不意に三日月は此方へと顔を向ける。
三日月「お主が願うならば、帰って来る。あやつはお主の初期刀、主の想いと神力をより濃くその身に宿している」
主「……?」
三日月「会いたいならば、ただ願えば良い」
簡単だろう?
そう、笑顔で首を傾けて見せる三日月。
会いたいなら願えば良い…でも、あれから毎日会いたいと願い続けている。
なのに会えないのは、やっぱり私自身の力不足…。
三日月「ちと、良いか?」
主「ん?……っ…ぐ…っ!!」
不意に項へと浴びせられる手刀、私はいとも簡単に意識を手放してしまった。
三日月「暫し、眠ると良い…」
私を抱き留め、自らの膝に私の頭を乗せて髪を撫でてくれる。
その手の感触すら、感じる事が出来なかった。