第53章 敵襲
骸「俺に本丸を明け渡せ…そして、お前は俺に仕えろ。そうすればやめてやるぞ?」
その言葉はまるで悪魔の囁きの様で、その選択肢しか無い様な気がしてくる。
すると今まさに苦しんでいる筈なのに、私の手を握り笑顔を見せる宗三。
宗三「僕達の審神者は…くっ…貴女しかいない…っ…何処にも行かないで下さい…貴女は…僕達の家長なのでしょう…?」
主「でも、宗三が…っ」
苦し気に途切れ途切れになりながら必死に言葉を紡ぐ宗三の姿に、涙が零れる。
こんなに苦しむ宗三の姿、見たくないよ!
それに…あんなに仲間想いの優しい乱にも、誰かを傷付けさせたくない!
主「私…」
口を開き掛けた、まさにその時だった。
?「困っておる様だな?」
骸「…誰だ!?」
私が口を開き掛けた瞬間、骸が問う。
?「我は小烏丸、刀剣の祖とも呼べる存在。いわば此処に居る刀剣の父も同然よ」
骸「小烏丸?」
骸も知らない刀剣男士だったのか、目を細めて声のした方を睨み付ける。
小烏丸「しょうのない男よ、我の子らをいじめるでない…」
スッ、と音も無く木から飛び降り、またも音も無く地に降り立つ。
黒髪が美しい小さな男の子…その姿は、何処か神秘的だった。
骸「乱!!」