第53章 敵襲
何!?
音に驚き立ち上がろうとする私の腕を掴み、自らの後ろに隠す様に前に出ると床に片膝をついて様子を窺う宗三。
すると、江雪と小夜が戻って来た。
小夜「敵襲…」
あの幼く小さな体から発せられた、低く緊張した様な張り詰めた声が私の体を強張らせる。
宗三「…っ…見張りは何をやっているんです!?」
後ろ手に私の腕へ片手を添え、守る様に片膝をついて座ったまま宗三が声を荒げる。
江雪「お気を付け下さい、操られぬ様に…」
?「(何処だ、何処に居る…!?)」
その時、またあの声が頭の中でガンガンと響く。
主「っ!!!」
小夜「…主!!」
私は頭を抱えて踞った。
いつもとは違う呼び方で呼び駆け寄ってくれる小夜を片手で抱き締め、自分に大丈夫…そう言い聞かせる。
江雪「厄介、ですね…」
主「本当に…ね…っ」
頭で反響する声を振り切る様に、私は自らの頬を挟む様にパンッと叩いた。
驚き目を見開く小夜。
主「大丈夫。私…負けないから!」
ニッと笑って見せると、ふわりと柔らかい小夜の笑顔が返って来た。
?「(…見つけた)」
そう聞こえた瞬間、全身を駆け巡ったのは凄まじい悪寒。
全身が冷えきって行く。
すると、いつの間にか左文字部屋の前に乱が立っていた。
俯いたままで普通じゃない乱の様子に、柄に手を掛ける宗三と刀を抜いて構える小夜と江雪。
一体、何が起きているの…?