第51章 恋文
~ * 其の後 三日月宗近目線 * ~
主が俺の元より走り去る足音は、何度聞いても胸が締め付けられる様だ…。
またすぐ会えるというに、なんと欲深い事か。
三日月「三日月の灯りに燃ゆる我が想ひ 知ってか知らいでか むだいす人の恋しき…」
三日月の灯りを見る度に燃える様に昂る俺の恋心を、知っているのか否かお主は無茶ばかりする。そんなお主が…堪らなく愛おしい。
そう、詠んだ。
あの者が無茶をし、傷付き涙を流す度に思う。
もうこの両腕(かいな)に抱き、何者をも寄せ付けぬ様に…皆、斬ってしまおうか。
さすればお主はもう、泣かずに済むのでは無いか…と。
三日月「ただ…愛し君思ふ…」
呟きも、主に伝わらなくば何も意味は成さんな…。
いつか、この思いの丈をぶつけてみるとしよう。
果たして、返って来るは笑みか涙か…。