第51章 恋文
主「も…ぅ…ンンッ…息が…ッ」
三日月「まだだ…っ…まだ…足らぬ……っ!」
上顎に舌を這わされ、ぞわりと背中に快楽の痺れが走る。
頭に甘い痺れが広がり、思考がぼやけ始める。
主「んぁ…みか…づ…きぃ…んぅっ」
三日月「はっ…ん……ハァ…っ」
主「んっ…は…!?けほっ…こほっ…ハァ…ハァッ…」
漸く離れた唇、突然肺に送り込まれる大量の酸素に噎せる。
ふと見れば、眉を下げて不安そうに見詰めて来る三日月の瞳が揺らいでいた。
三日月も怖かったの?
あの飄々とした三日月の新しい表情を、今日は二つも知れた。
私は三日月の唇に、自ら口付けた。
主「ん…っ。三日月、泣きそうな顔してる…」
三日月「何故だ…?何故、お主だ…っ」
どういう意味だろう?
主「私…何かした?」
恐々と聞いてみれば、三日月はぎゅっと抱き締めて来た。
肩に顎を乗せる彼の表情を、私は知る術を失った。
三日月「何故、俺の惚れた女に目を付けた…他の者ではいかんのか…っ」
惚れた…女?
主「三日月…それって…」
三日月「人間は、相変わらず勝手で強欲な生き物だな…」
ドキッ、と鼓動が跳ねる。
肩越しに聞いた声が少し鼻に掛かり、掠れていた。
泣いているのかも知れない。あの穏やかでいつも優しくて、どんな時でも余裕のある…あんなに強い心を持った彼が。
そう思った瞬間、胸がぎゅうっと締め付けられた。