第50章 帰り道のトラップ
主「わ…私は…」
大典太「返事をするな!!!」
主「っ!?」
私の肩を掴み大声を出す大典太の声で、ハッと我に返った。
気付けば頭の中に響いていたあの声も怖さも痛みも、全てが嘘の様に消えていた。
大典太「返事をすれば操られる。それこそ、奴の思う壺だ」
見れば、襲い掛かって来た人間達はみんな伸びてしまっていた。
この人達は何も悪くないのに…私達、審神者の所為でこんなに傷付いて…。
あの男が許せない、いや…許しちゃいけない!自分の本丸に居た子達に、あれ程の事をして…まだ足らないと言うのか?
主「…っ」
私は悔しさか悲しさか、それとも怒りなのか分からないままに涙が零れた。
大典太「な……あ、アンタに任せる」
三日月「うむ。主、帰ろうか?主の…いや違うな、主と俺達の家へ」
まるで涙を止める術を知らぬ子供の様に、涙を流し続ける私を三日月は抱き上げ優しく額に口付けてくれた。
そして…うんと甘やかすかの様に、三日月は私を優しく抱いたまま本丸へと帰還した。