第50章 帰り道のトラップ
主「そんな…人間まで操るの!?」
三日月「猪口才な…余程主は気に入られた様だなぁ…っ!」
素早く刀を振るい、数人、数十人とを峰打ちにて気絶させる。
その刀捌きはまるで、三日月を思わせる弧を描いていた。
主「あんなクズ野郎に好かれたか無いわ!」
三日月「はっはっは、そんな口が利けるほど元気があるならば良い」
対峙していた乱が、普通の人間の女の子である筈の彼女に後れを取っていた。
操られている呪縛を解かないと…私に出来るのか?いや、やらなければ!
手を広げて神力を使おうとしたその時、小狐丸に抱き締められた。
小狐丸「ぬし様…いけません。奴の狙いがぬし様である今、ぬし様がお力を使われる事が得策とは思いませぬ」
主「小狐丸……」
使おうとした神力を、抑える。
どうしたら良いの?どうしたら、私は審神者として皆の役に立てる?
?「(……俺に本丸を明け渡せ、そいつらを死なせたくないならな…)」
主「!?」
数珠丸「…!主様、どうかしたのですか!?」
突然、頭の中で響く男の声。
私の頭の中で、ただガンガンと響く…あの悪寒の走る様な声。
主「…くっ……」
小狐丸「ぬし様っ!!」
頭に激痛が走り、私は頭を抱えて蹲った。
痛い痛い痛い痛い痛い!!!
それと同時に、全身が冷えて行く程の恐怖感が襲う。
これが、言霊を操る強い神力を持つ男の力…。