第49章 問題発生!
声は穏やかだが、きっと小狐丸も二人と同じなんだろう。
いつでも刀を抜ける様に柄に手を置いたままなのか、後ろからは僅かに金属音がしていた。
道中何事も無く、ホッと胸を撫で下ろした。
中に通され、漸く落ち着いて座る事が出来た。
政府「わざわざお出向き頂き、感謝致します」
主「いえ…で、一体何が起きたんです?」
政府「先日の審神者の起こした事件、あの案件で少々問題が。まずは事件をご解決頂き、政府一同誠に感謝致しております」
あの勤勉そうで冷徹そうな彼から、深々と頭を下げられる。
うわあ…正直、この人に頭下げられるとは思ってなかっわぁ…。
ちょっとだけイイ気分…。
主「い、いえ…」
政府「そして、あの男審神者の真名は骸(ムクロ)。あの男は強い神力を秘め、言霊を操る力を持っている厄介な男でして…」
珍しく言葉を濁す彼に、余計に胸がざわつく。
主「それが、どうかしたんですか?」
政府「姿を眩ましました。捕らえていた獄より、脱獄したというのが実説ですが…」
な………。
あの男が逃げた?
私の後ろに並んで立つ三人を振り向き見てみれば…乱は苦しげに顔を顰め、三日月は先程よりも鋭く目を細め真っ直ぐ政府を睨み付ける。小狐丸は唇をあの尖った歯で噛み、刀の柄を握り締めていた。
三日月「…やはり、あやつは消しておくべきだったか」