第48章 幸運の三条
右手を挙げて返事をする、今剣。
もう既に良い子だ、可愛い!!
昼寝ぶっこいた私がこんなに癒されて良いのだろうか?
まあ、今はとにかく…。
主「長谷部ーーー!」
少し大きめな声で呼んだだけだったのだが、長谷部はすぐにやって来た。
長谷部「はい!!主、主命ですか!?」
うん、君は何故そんなに主命に拘るんだ。
見ているとゴールデンレトリバーの愛らしくも凛々しい顔立ちと、重なって見えてくる。
振り払う様に今剣の背に手を添えて、私は口を開いた。
主「この子、物吉が鍛刀してくれた今剣ちゃん。もう夕は…夕餉に近いし、必要最低限で良いから本丸の案内お願いして良いかな?」
長谷部「三条…?畏まりました!主命とあらばこの長谷部…全身全霊、圧倒的責任感を持って全うさせて頂きます!」
熱いなぁ…君は熱血学園モノの生徒会長か何かか?
ただ、こんな長谷部だからこそ可愛いと思ってしまう。
私を想って動いてくれるこの子は、優しくて真面目で…本当に真っ直ぐに私を見てくれる子なんだろう。
主「じゃあ、お願いしますっ」
私は額に右手を翳し、ゆるゆるな敬礼をして見送った
出て行く際に振り返った今剣が大きく手を振りながら、満面の笑みを向けてくれた。
うん、可愛い死神再来ぃぃ…っ!