第48章 幸運の三条
何時間くらい経ったのだろうか…窓から射し込む茜色の夕陽が瞑ったままの瞼の裏を赤く染める。
目を開けて見れば、周りに居たショタっ子達はいつの間にか出て行ってしまっていたらしい。
きっと、私を寝かせる為に来てくれたんだろう…。
目が覚めて誰も居ないのは久し振りだ。少し寂しい…なんて思ってしまった。
主「うー…んっと。さて、体調も完全回復だっ!」
私は伸びをしてから布団を畳み、軽く部屋の掃除をした。
といっても、コロコロと転がすだけでゴミが取れる…あの便利道具でだ。
ある程度のゴミが取れたと自己満足にふう…と息を吐いた瞬間、襖が開かれた。
主「あれ、物吉どうかしたの?」
人一倍礼儀正しい彼が何も言わず審神者部屋の襖を開けるなんて珍しい、そう考えながら物吉の顔を見れば…不安げに眉を下げて真っ直ぐに私を見詰める。
そのまま何も言わずに歩み寄って来る。目の前まで来た彼は、私の前に跪いて私を抱き締めた。
主「ど、どうしたの?何かあった?怖い夢でも見た?…って、寝てたのは私だけか」
物吉「僕は、主様に幸運を運べているのでしょうか?僕は…っ…僕は……主様のお役に、立ててなどいません…っ」
悲痛な声を振り絞って伝えて来る、物吉。
幸運…お役…って?
主「ちょ、ちょっとタンマ。物吉、幸運って?」