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私の本丸

第47章 噂の兄弟




朝、ふと前髪に掛かった吐息で目が覚めた。
見れば、江雪はあのまま私を抱き締めて寝てくれていたらしい。
江雪は優しいだけじゃない、真面目で律儀なんだろうな…と沁々思う。てっきり私が寝入ったら部屋に帰ってしまうのだと、そう思っていた。


主「………」


やっぱり、綺麗な顔だな…女である私なんかよりも遥かに端正で美人という言葉がよく似合う。
人間離れしてる。何ていうのだろうか、神々しい何かを感じる。
神々しいって、皆神様じゃんか!当たり前の事を自問自答しては、溜め息を吐いた。


江雪「おはよう…御座います」

主「ぁ…お、おはよう」


目を覚ました江雪と目が合い、何だか何もしていないというのにいけない事をしてしまった様な不安に動揺する。
ただ一緒に寝ていただけ、ただそれだけなのに…。


江雪「それでは、私はお小夜の様子を見て参ります…」

主「あ…うん、何だろう…何か、ごめん」

江雪「どうして謝るのですか?」


何故だろう…。
小夜ちゃんから、お兄ちゃんを一晩借りちゃったから?
江雪に我が儘を言ってしまったから?
いいや違う。私の心に引っ掛かった、疚しい感情だ。


主「う…ううん、何でもないっ」

江雪「私は、主様をこの腕に抱いて眠れた事を…この上無く嬉しく思っております」


耳元に顔を寄せて来る江雪は、まるで雪が溶ける程の静かな声音で囁いた。
どきん、と鼓動が大きく跳ねて頬が一気に上気する。


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