第46章 冷たい温もり
江雪「はい。主様の、家長の笑顔あってこその家族…ですよ」
家長の笑顔あってこそ…。
私は江雪の放った言葉を、心の中で繰り返し呟く。
江雪の言葉は優しく、声は温かい。そんな彼の言葉に、私の強がりも…力を成さなくなった。
主「えっと…あの…。じゃあ…我が儘、言っても良いかな?」
私がおずおずと言えば、江雪は優しく微笑んでくれる。
江雪「…何なりと」
主「小夜ちゃんみたいに、ぎゅって抱き締めて欲しい。朝まで、ぎゅってしてて欲しい…」
すると、くすりと笑いを零す江雪。
そして、布団を開けて私の隣に横向きで寝転ぶと…私が願った通り、優しく抱き締めてくれた。
江雪「私は、この甘えん坊な主様の方が…好きですよ」
主「わ、私が甘えん坊なんじゃなくて、江雪が甘えさせ上手なだけですー」
江雪「私は役得、ですね」
楽しげにクスクスと笑う。
こんな江雪を、私は初めて見た。普段から江雪には落ち着いていて、冷静な印象を持っていた。
笑った江雪は、とても優しくて温かい。
主「江雪……あった…か……い」
江雪「叶うなら、永久に……」
私は江雪の言葉を最後まで聞く前に、眠りに落ちてしまった。