第46章 冷たい温もり
主「………ぁ」
江雪「…どうか、しましたか?」
名残惜しくて、小さく声を漏らしてしまう。すると、江雪は顔を覗き込んで来た。
近くで見ると、やっぱり綺麗な顔だ…。
切れ長の冷たい寒色の瞳、けれど優しげで穏やかな眼差し。その瞳に見詰められると、息が出来なくなりそうな程に胸がざわついた。
主「あの……手…」
江雪「手が…何か?」
自分の手を不思議そうに見ては、私を見る江雪。
目が合い、私は彼から視線を逸らせなくなった。
気付けば、口を開いていた…。
主「も…少し、撫でて…欲しい…」
すると、一瞬驚いた様に目を大きく見開く江雪。
やっぱり、迷惑だよね…。っつか、お前何歳だよ!って話だよね。
しかし次の瞬間、江雪は私の頭を優しく撫でてくれた。
江雪「…もっと甘えて下さい。でなければ私は…私達は、居る意味を見失ってしまいます」
主「大変な事があったんだよ?江雪も皆も…。私は、皆に幸せになって欲しい」
江雪「ならば主様も幸せでなければ、私達も幸せに等なれません。それが真の本丸…真の家族というものでは、ないでしょうか?」
江雪とこんなに話したのは初めてだ。
私も幸せにならないと、皆も幸せになんてなれない…そう言った彼の言葉の意味が、理解出来なかった。
主「そうなの?」