第46章 冷たい温もり
目が覚めたのは、夕餉の時刻を少し回った頃だった。
主「ぅ……み…ず…」
鶴丸「っ…水か、分かった。このままが良いか、それとも一度起きるか?」
喉の渇きは異常なものだった、手を伸ばして自らの欲求を呟く。
すると傍についてくれていたのか、鶴丸が私の頬に触れて優しく声を掛けてくれる。
主「起き…た…い」
何だか、この優しさに甘えてしまいたくなる。でも、私は家長として甘えてしまう事はいけないのだと…自分に言い聞かす。
体に力を入れてみるも、上手く力が入らない。
すると、鶴丸が背に手を添えて起こしてくれた。
主「あ…ありがと…」
鶴丸「さ、飲めるか?そういえば、さっき長谷部が雑炊という物を作って来てくれたんだ。食べれそうか?」
私は差し出された水差しで、水を飲ませてもらった。
不意な問い掛けに、突然自分の空腹を自覚して頷く。
主「食べるー…お腹減ったもん」
鶴丸「はは、君らしいな!」
そう言って雑炊も、鶴丸が一口分ずつ息を掛けて冷ましながら食べさせてくれた。
鶴丸「さあ主、もう一度寝ると良い。君は頑張り過ぎなんだ、こんな時位…俺達に甘えてくれても良いだろう?」
主「…ううん、大丈夫。ごめんね心配させちゃって、昼間の事といい…審神者失格だなぁ」
何気無く呟いた一言だった。
しかし次の瞬間、泣きそうに顔を歪めた鶴丸に抱き締められていた。