• テキストサイズ

私の本丸

第45章 病気と鶴




~ * 病気と鶴 鶴丸国永目線 * ~


鶴丸「主……君が笑っていないと、俺は元気が出そうにない」


三人が出て行ってから、俺は厨から水と布巾を貰って来た。
濡らし軽く絞った布巾を畳んで、主の額に乗せた。苦しげに呼吸する姿に、後悔が募る。
そっと頬を撫で呟くも、反応を示さない君。
風邪だけでは無いだろう、あれ程の穢れた神力。
俺達でも意識を保つのがやっとだったんだ、ましてや君は人の子…。
俺にもっと力があれば……悔しさで両拳を強く握り締める。


鶴丸「…君が好きだ。君の笑顔が、心が、優しさが。君の全てが…愛しくて堪らない」


守れなかった。目の前で熱のこもった息を吐く、そんな君の姿に胸が苦しくなる。
言ったって仕方がない、次郎太刀の言った言葉は正論だ。
俺達がもっと力を付ければ、それで良い。だが…もしもあの時、あのまま主を失っていたら?
そう考えると怖くて仕方無かった。


鶴丸「全く、あんな状況でも君は刀剣を想ってしまうんだな。少し妬けてしまう…」


俺の事は其処まで想ってくれているのだろうか?
俺がもし乱と同じ状況だとしても、君は同じ事をしてくれたのだろうか?
あんな不幸な境遇に居た乱藤四郎を、羨んでしまう自分が居る事に驚いた。


鶴丸「本丸の家長なんだろう?なら、いつまでも寝ている訳にはいかないぞ?早く……君の笑顔を見せてくれ…っ」


そして、俺は主の額に口付けを落とした。


/ 335ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp