第42章 ひだまりの本丸
泣き崩れる様に私の手を握ったままで、その場にペタンと座り込んでしまう乱。
何かを言ってあげたいのに、言葉が出てこない。
すると、彼の頭を優しく撫でる手があった。
三日月「幸せになる事に良し悪しがあるのか?あの審神者の元でお主が折れる事をその二振りが望んだとは、俺は思えん。これはお主が見出だした活路だ、自らの足で歩むしかあるまい」
その言葉にハッとした様に顔を上げる、乱。
頬を流れる涙を腕で拭い、立ち上がった。
乱「僕の足で…か、そうだね。こんな顔、僕の兄弟達には見せられないよねっ」
そう言うと、未だ涙が滲む目を瞑り肩を竦めて乱は笑った。
何て可愛くて綺麗な笑顔なんだろう…光の戻った瞳がアクアマリンの宝石の様にキラキラと光っていた。
暫くして、私達は本丸に帰って来た。
本丸の門を潜った瞬間、其処には本丸に残っていた全員が出迎えてくれていた。
小狐丸「ぬし様!御無事で何よりですっ」
駆け寄って来ては、よく気にしている髪に落ち葉を着けて私に笑顔を向けてくれる小狐丸。
鶯丸「遅かったな、心配していたのだぞ?」
ゆっくりと歩み寄っては優しい声音で声を掛けてくれる、鶯丸。
包丁「太郎太刀から聞いて、主に何かあったんじゃないかって心配してたんだぞ~~っ!」
占って欲しいと太郎太刀に言ったという、包丁。抱き付いて来た彼を見れば、涙を流してくれていた。