第42章 ひだまりの本丸
あんな後でも買い物をして帰らなくちゃ、ご飯が食べれない。
私達は当初の目的であった買い出しを済ませ、8人で帰るその帰り道。
乱「僕、あの本丸で女の子の代わりをしてたんだ。毎日毎日、ドロドロした汚い事をいっぱいされて…」
そう、乱は口を開いた。
私の手を震える手で握りながら、本当に静かな声で続ける。
乱「僕の他に…初期刀の加州清光、蛍丸君が居たんだ。加州さんは一番最初に折れた刀…」
主「……っ」
二人共、私の所にも居る子だった。
我が儘で可愛くて甘えん坊で、愛されたがりの加州。
優しくて気配り上手で男前で、いつも見守ってくれる蛍丸。
そんな二人が別の本丸では酷い扱いを受け、死んでしまった…。
私は涙が溢れ、止まらなくなった。
私の手を握り離さない乱。その反対を歩く次郎太刀が、私の肩を抱いてくれた。
乱「僕達は毎日毎日、主様に命令された。逆らいたくても逆らえなくて、僕は心を…捨てた。主様は自由を奪うんだ…」
主「…ひど…い……っ」
乱「心や自由を奪ったって、あの人は満たされなかった。二人は自分で自分を折ったんだ…主様がね“遊び”だって。人はそれを、自殺って言うんでしょう?」
いやに冷静な乱の問いが、私の胸に突き刺さる。
乱「僕が今此処に居るのは女の子に見えるから、ただそれだけの理由で生かされたんだ…。僕は、幸せになっても良いの?二人があんなに苦しんだのに…僕だけ…っ」