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私の本丸

第42章 ひだまりの本丸




薬研「………」


何も言わず、ホッと胸を撫で下ろす薬研。きっと、相当な心配を掛けてしまったんだろう。


和泉守「ったくよぉ、心配掛けさせやがって…っ」


腕組みをして顔を背けた和泉守が、私の頭を撫でる。素直じゃなく不器用な、彼なりの優しさなのだと分かった。


陸奥守「はあぁぁ…包丁から聞きよったら主が大変じゃ言うて、心配で心臓が止まりそうじゃったがよ…」


腕をだらりと垂れさせ、項垂れる陸奥守。やっと安心した、とばかりの彼の表情に自然と眉が下がる。


宗三「…お小夜、良かったですね」


小夜の肩に手を置き、優しく声を掛ける宗三。そして私へと視線を向け、一瞬だけだが柔らかい笑みを浮かべてくれた様な気がした。


江雪「安心、致しました…」


自身の胸に手を添え、小夜のもう片方の肩に手を乗せる江雪。瞼を閉じて、ゆっくりと頷いていた。


「主様……っ」


兄二人を一度見てから私の元へ駆けて来た小夜の頭を、私は撫でた。


蛍丸「主、何処も怪我してない?何もされてない?痛くない?大丈夫?ごめん、聞き過ぎた…無事で、良かったよ」


私を見上げ、眉を下げて問い掛けて来る蛍丸。普段そんなに質問責めをする事の無い彼に、ビックリして目を丸くしていると少し目を伏せて呟く。そして、此方をちらりと見ては柔らかく微笑んでくれた。


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