第40章 甘くて苦い
しかしこれでメンバーは揃った訳で…何だかんだと言いながらも、私達四人は買い出しにと万屋へ向かった。
道中、一軒の茶屋から甘いあんこの香りが立ち込めていた。
主「美味しそうな匂い…」
燭台切「主は和菓子も好きなの?」
主「うん好きだよ、どうして?」
燭台切「この前作ってくれたフレンチトースト、あれは和菓子とはとても思えなかったからね」
クスッと笑う燭台切。
ああ…成る程。洋菓子好きだと思われてたのか。
主「和菓子も洋菓子も、甘い物は基本的に何でも好きだよ」
歌仙「うん…とても良い抹茶の香りだ。あれは宇治の茶葉を使っているのだろうか…?」
鶴丸「そんなに言うなら入れば良いんじゃないか?」
鶴丸の言葉で私と歌仙は顔を見合わせ、そして一つ頷き。
主・歌仙「よし、入ろう!」
少し位の寄り道は…良いよね?
小豆色の暖簾を潜り、店内へと入る。
中は木の香りと甘いあんこの香り、そして上品な抹茶の香りで満ちていた。
私の隣には乗り気だった歌仙、前が鶴丸で斜め右には燭台切が座った。
鶴丸「主は何を頼むんだ?」
主「うーん…そうだな、みたらし団子とお汁粉!あー…でもあんみつも捨てがたいっ」
歌仙「そんなに食べると昼食が入らなくなってしまうよ?」
燭台切「はは、主は相変わらず元気だね」
そんな何気ない和やかな雰囲気の中、ふと視線を感じて辺りをキョロキョロと見回してみた。
すると、店員の女の子がもじもじとしながら此方を見ているのが見えた。
鶴丸「よし、注文は決まったか?」
歌仙「僕はもう決まっているよ」
燭台切「僕も大丈夫だよ、鶴さんは?」
鶴丸「ああ、俺も決まったが、主は…主?」