第39章 大ハプニング
~ * 和泉守兼定 視点 * ~
和泉守「今日は雨か…」
寝起きに曇天から降り注ぐ雨を見て、そう呟く。
昨日初めて見た主殿は、俺の目には頼り無げに映った。
きっと土方歳三という、鬼とまで称された強い信念を持った新撰組副長を…主としていたからだろう。
しかし、この本丸に居る唯一の女人。人の身体を得た今、意識しない筈が無い。
和泉守「あー…考えたってキリが無ぇ!今日は手合わせでもして少しは気を……うおっ!?」
陸奥守「ああもう、まっこと楽しみじゃあ!……ぐえっ!?」
歩きながら余所見をしていた所為で、曲がり角で誰かとぶつかってしまう。
そして縁側という事もあり、相手は外へと身を投げ出された。
和泉守「オイ、捕まれ!!」
陸奥守「おんし…っ……くっ!!」
俺が伸ばした腕を、陸奥守は寸での所で掴む。両者共にほっと胸を撫で下ろした。
しかし陸奥守の腕を引くと、雨で床が濡れていた所為か踏ん張った拍子に足を滑らせてしまった。
和泉守「ぬおぉっ!?」
陸奥守「うおぁあああっ!?」
そして俺達は、雨でぬかるんだ土の上に派手に投げ出されたのだった。
それから泥だらけになった俺達は、歌仙に促されるままに風呂へと向かった。
陸奥守「あーもう、えらい目ぇに合ったがよ」
和泉守「うっせぇ、テメェがいきなり飛び出して来たんだろーが!」
陸奥守「おーおー、人ん所為にするとはのう。わしはおんしの所為で、こが泥だらけになりゆうがやろ!」