第39章 大ハプニング
湯気で見えなかった所為か、気付けなかった。
ゆっくりと立ち上がった瞬間、かけ湯をしに来た二人と目線が合致してしまう。
突然の出来事に驚きと戸惑いに頬を染める和泉守とは裏腹に、嬉しげに眼を開いて私を見詰める陸奥守。
主「…き…きゃあああああああああ!!!」
全身に羞恥という名の熱が広がる。
自らの身体を抱き締める様に腕で胸元を隠し、湯船に勢い良く浸かった。
長谷部「主ぃぃぃいいいいいい!!!一体何が、敵襲ですか!?」
亀甲「ご主人様っ!何があったんだい!?」
主「ば、バカ!長谷部も亀甲も入って来ないでぇぇっ!!」
私の声を聞き付けては駆け付けてくれた二人、しかしこの状況では全く嬉しくは無かった。
和泉守「だああ!おらテメェら、主殿が困ってんだろうが!」
陸奥守「主、大丈夫じゃ…ほら、おんしゃらもう出て行くちや」
長谷部「…っ!貴様ら、主に何かしたら分かっているだろうな!?」
亀甲「ご主人様も肌を見せるのは得意じゃ無いらしいね…ふふ、じゃあ広間で待っているよ」
和泉守と陸奥守の二人が私に背を向け、隠してくれていた。
此方を決して見ない様にと向こうを向いているにも関わらず、瞼を閉じてくれていた二人。
長谷部と亀甲が居ないのが見え、私は立ち上がった。
主「あ、ありがと…う」
和泉守「良いから、さっさと出ろ!」
大人の男性の大きな声にビクッと肩が震える。
陸奥守「そんな言い方は無いがやろ、主が怯えてしまうじゃろうが!」
私の気持ちを察してか否か、相変わらず瞼を閉じたままで陸奥守が僅かばかりの怒りを露にする。