第37章 可愛いヤキモチは正義
小狐丸「申し訳ありませぬ…私が我が儘を言ってしまった為に……わ、ちょっ!ぬ、ぬし様!?ふっ…はは!」
またも表情を暗くする小狐丸を見て、私は考えた。
もう、強引に笑わせてやる!
そして腕を伸ばし、小狐丸の脇腹を擽り始めた。
身を捩り、あの端正な顔が笑顔で崩れる。
可愛過ぎかよ!?笑っても綺麗な顔って…もう犯罪レベルだな、おい。
小狐丸「ぬ、ぬし様っ!ふ、くく…ははっ!ぎ、ぎぶあっぷです!」
主「じゃあ、お願い…もう自分を責めるのは、やめて…」
小狐丸「……ぬし…様…」
膝の上の小狐丸の頭を、きゅっと目を瞑り抱き締めていた。小狐丸の苦しみが何れ程のものだったのか、そう考えるだけで身体が僅かに震えた。
不意に私の腕に添えられた温かい手の感触に目を開くと、目を細めた笑みを浮かべる小狐丸。
ああ…やっぱりこの子が好きだ。
愛おしくて仕方が無い。
しかし、意思に反して…。
ぐうううううううううう……。
と、二つの腹が同時に空腹を訴えた。
小狐丸「…っ…くくっ」
主「ぁ……ぷっ」
主・小狐丸「あははははっ!」
私達は一頻り笑い、共に広間へと向かった。
広間の前まで来た途端、目の前に飛び出て来る影があった。
不意に抱き付かれ一瞬目を見開きビクつくも、相手が小さい事に気が付いた。
見下ろしてみれば、青い髪を赤い組み紐で結った男の子…小夜左文字だった。
主「お、小夜ちゃんだぁ。どうしたの?」
小夜「…………」