第36章 狐の婿入り
髪を撫でると気持ち良さそうに目を細める。まるで幼い子供か、懐っこい動物の様だ。
可愛くて仕方がない。
小狐丸「ぬし…様…この小狐…を…永久に…お側……に…」
先程言おうとした言葉は、これだったのだろうか?考えるも答えは分からない。
聞こうにも膝の上で頬が濡れたままの小狐丸の規則正しい寝息が、無理な相談だと物語っていた。
頬を包む様に様にそっと頬に触れると、親指で濡れた頬を拭う。
膝に掛かる重みが、彼が居る喜びを改めて実感させた。
主「あのね小狐丸……私も、ずっと傍に居させてね…?」
眠る小狐丸の髪を撫でながら、私は語り掛ける様に小さく呟いた。