第36章 狐の婿入り
主「言ったでしょ?小狐丸は穢れてなんかいないって。大好き…愛してるよ、小狐丸」
小狐丸「私も…ぬし様を心よりお慕いしております…っ!小狐を…っ」
小狐丸は自らの言葉を言い切る前に、唇を重ねて来た。
その口付けに応えたくて、今度は私から唇を割り舌を差し込み、彼の舌に絡ませる。
小狐丸「…っ!?…っ…ん…」
主「ん…ふ……っ…ん…」
お願い。
小狐丸は穢れてなんかいない、こんなに綺麗な心を持った小狐丸はとても美しく真っ白なんだって…どうか伝わって欲しい。
すると、不意に抱き締め返して来る彼に、火が点ったかの様に胸が熱くなる。
口付けはより深いものへと変わって行った…何十秒そうしていただろう?いや、もしかしたら何分間もそうしていたのかも知れない。
漸く唇が離れ、未だ頬を涙で濡らしたまま…小狐丸が私を慈しむかの様に目を細め優しい瞳で見詰める。
小狐丸「ぬし様と出逢え…ぬし様に愛され、ぬし様を愛す事が出来て…私は幸せです」
主「私だって…こんなに優しい小狐丸と出逢えて、家族になれて…本当に幸せだよ」
其れから暫くして、私は座ったまま、小狐丸は私の膝に頭を乗せ甘える様に寝転がっていた。
その柔らかく、指通りの良い髪を撫でる。
小狐丸「…ぬし様」
主「なーに?」
小狐丸「本日はこのまま、夕餉の時刻までこの小狐と共に居て下さりますか?」
主「ん…勿論、小狐丸と一緒に居るよ」