第35章 五振りは突然に
?「格好良くて強ぉぉい、最近流行りの刀と言えばこの俺!土方歳三が愛刀、和泉守兼定だ」
?「主様が我々にお掛け下さったお優しいお言葉、とても嬉しかったと鳴狐は申しております!」
?「僕は歌仙兼定。肥後で雅と風流を学んで来た文系名刀さ」
?「天下三名槍が一槍、御手杵だ。切ったり薙いだりは出来ねぇが、刺す事だったら誰にも負けねぇよっ」
う……わあ…一気に出て来たら誰が誰か全然分からない。
私は一人ずつ顔を見て、確認していく。
主「えっと…和泉守に鳴狐。歌仙と…お、御手杵…で合ってる?」
すると、腰に手を添え胸を張る和泉守が自慢気に答えた。
和泉守「おう、格好良くて強ぉぉい」
陸奥守「おーおー、おんしはまっことそればっかりじゃのう。格好付けの新撰組らしいがよ」
和泉守「テメェ…陸奥守か!?」
突然の険悪なムード。
止める間も無く、喧嘩が開始する。
私が手を出せる隙は無く、止めに入ってくれた長谷部に任せる事にした。
御付きの狐「はい、鳴狐は少々口下手で御座いますので私が…」
鳴狐「いい…。合ってる、好きに…呼んで?」
肩に乗っている狐を手で制し、静かだが透き通る様な綺麗な声で答えてくれた。
歌仙「合っているよ。それよりその…丈の短い裾は、どうにかならないのだろうか?み、雅じゃないよ…」
御手杵「おう、合ってるぜ!宜しくな。雅じゃねぇって割には…ちらちら見てるじゃねぇか」
歌仙「な…!?み、見ていないよ!可笑しな誤解は止めてくれっ」