第35章 五振りは突然に
主「でも、皆一人一人違うんだもんね。私の家族になってくれるからには…絶対苦しませたりしないから!じゃあ、先ずは君から…」
顕現札に口付けをして神力を移すと、刀に触れさせる。
すると、またもあの美しい桜が舞う。
主「何度見ても、綺麗だな…」
?「顕現早々、主に口説かれるとはにゃあ。色男は辛いぜよ」
方言!?
桜の中から姿を現したかのは、黒髪のややワイルドな印象を受ける男性。
主「……ぁ。わ、私はこの本丸の審神者…苗字 名前です。宜しくお願いします」
?「わしは陸奥守吉行、坂本龍馬の刀じゃったがよ。まあ、やっとうの時代は終わりじゃ…これからは鉄砲の時代ぜよ!」
拳銃を構えてはニッと笑い、ウィンクをして見せる。
あ…明るい。
って…。
主「おお!坂本龍馬!凄い有名人だっ」
陸奥守「ほう、知っちょうか!何じゃ、龍馬も有名になったもんじゃのう!」
うん、凄く話しやすくて優しそう。
ふと見れば、漸く審神者部屋に着いたのであろうこんのすけが息を切らし睨み付けていた。
主「ぁー…はーせーべーーー!」
陸奥守「おうおう、主は元気がええのう。腹から声が出せるがは、ええ事じゃき」
私が大声で呼び掛けた途端、ダダダダダッ!という騒がしい足音が近付く。
襖の前でピタリと音が止み、静かに襖が開かれる。