• テキストサイズ

私の本丸

第34章 戸惑う恋心




熱を冷ます様に頬を手で扇ぎながら歩いていると、急に目の前に現れた壁。
次はぶつかりはしなかったが予想外の展開に目を大きく見開き、素っ頓狂な声が漏れた。


主「うぇ!?」

太郎「ん…?どうかしましたか、主様?」


あ…あー…太郎太刀か。
身長差に加えて彼の広い肩幅、体つきが相俟って…壁かと。
いやあ…ごめん、太郎太刀。


主「い、いやあ…急だったから驚いちゃって」

太郎「ああ…これは、申し訳ありませんでした」


ぺこり、と頭を下げる太郎太刀。
私は慌てて太郎太刀の肩を押して、下げた頭を上げさせる。


主「え…いやいやいや、私がちゃんと見てなかったのが悪いんだし!」


いやまあ、今回はちゃんと見てはいたんだけど…。


太郎「主様は優しいのですね」

主「そんな事無いよ?私だって、怒る時は怒ります。がおーっ…なんて?」


爪を立てる肉食獣の様に指を曲げておどけて見せた。


太郎「………」

主「ん、何かあるの…?」


ふと、表を見詰める太郎太刀。
不思議に思い彼と同じ方向を見詰め、再び彼へと顔を向けると…。


太郎「…引っ掛かりましたね?」


その顔はもう目前まで迫って来ていて、優しく触れるだけの口付けが唇へと落とされた。
漸く冷めた筈の頬の熱が、再び再燃して耳までをも赤く染めた。


主「な……太郎!?」

太郎「しー…お静かに。騒いでは、私が主様を独り占め出来る時間が減ってしまいます…」


/ 335ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp