第33章 仲直り
悲しげな目をしたままで、口元だけ笑う。
そんな、辛そうな三日月の顔を見ていると私まで苦しいくらい胸が締め付けられた。
三日月「嫌われたとばかり、思っていた…」
主「嫌いだなんて一言も言ってない」
三日月「ちと、若い者に好かれる主を…盗られたく無いと、欲が出た」
な…そんな事で此処まで悩んでたのか、私。まさか、三日月のヤキモチだったとは…。
でも、そんな感情を抱いて貰えるのは正直…嬉しい。
あまり自我を出さない飄々とした印象を受けた三日月が、初めて見せた欲という自我。
それは何とも可愛らしく見えた。
主「私だって、三日月だけじゃない。皆、誰にもあげたくない…だって、私の大事な家族なんだもん。ほら…私だって相当我が儘でしょ?ふふ…私はね?皆が笑って過ごせる、そんな本丸にしたいの」
三日月「そうだな、そんなお主に惹かれ付いて来た癖に…な。こうまで我欲が出ようとは、思わなんだ」
眉を下げ、目を細めて笑う。その三日月の笑顔が儚げで、でも優しくて…。
きゅん、と胸が鼓動打つ。
やっぱり、何だかんだで皆優しく…可愛い。
私は三日月の頬に口付けた。
主「我が儘、もっと聞かせて?私は家長なんだから!家族の我が儘は…聞きたいよ」
三日月「ああ…やはり俺はお主が愛おしい」
主「でも、次は言っちゃ駄目だからね?よし!じゃあ仲直りねっ」
そう言って私は三日月から離れ、部屋から出て行った。
三日月「ほう…“次”もあるとは、楽しみだ」
そう、にやりと笑う三日月を知る由も無く…。