第30章 夜這いにはご注意を(*)
主「加州…?」
加州「ね、主…そんな怖がらないでよ。俺は、主とこうしてるだけで…」
幸せなんだ…。
そう、消え入りそうな声で呟く加州に私は身体を反転させて向き合った。
主「甘えん坊だね、加州は」
加州「違う、甘えたい訳じゃない…俺は主が好きだから触れたいの。主じゃなきゃ…こんな風に嫉妬したりしないっ」
僅かに入る月明かりが加州の顔を照らし、表情が窺えた。
眉が下がり、何処か寂しげな真紅の瞳が私を見つめていた。
苦し気に言葉を紡いだ唇は、その白い歯によって噛まれ、下唇が歪に形を変えていた。
主「か…しゅう?」
加州「主…俺にも、してよ?」
そう言うと、背丈が変わらぬ加州にいとも容易く抱き起こされ四つん這いの体制にさせられてしまう。
加州の腹に顔を埋めた、端から見ると何とも珍妙な姿だったろう。
っていうか、加州ってこんなに力強かったんだ…やっぱり男の子だな。
すると加州は突然、自らの着物をずらして下半身を露にする。
主「え…ちょ、何して…!?」
加州「主、本当に三日月とやったの?でも…俺のを見て照れてくれてるって事は、ちゃんと俺を男として認識してくれてるって事だよね…?」
そう言うと、加州は満足そうに笑い私の頬に軽く口付けを落とした。
頬が熱を集め、真っ赤に染まってしまっているのが自分でも分かってしまう。