第2章 高級寮
「デリック」
ふと、俺の名前を呼んだのはクラトスだった
「もうすぐ寮に着く・・準備をしておけ。」
天を走る馬車から見える景色は、エコール・マジックから少し離れたところに位置する第二学校。
俺、デリック・ハインツレイドはクラトス・ハーバーラングと共に高級寮に特別入学することになった
目的は科学側へ情報を流している密告者の捕獲、および戦争への発展の中断。
「俺たちの目的を忘れるなよ。
・・目的さえつかめていれば、何があってもどうにかなる。」
クラトスはいつも真剣な眼差しで話すが、今回はいつも以上に真剣だ
「どうしたんだ、そんな真剣になって・・そりゃ、真剣になるのはわかるけど、もっと肩の力抜いてやったほうがいいぜ?」
俺らしくない、心配をしてしまった
基本、俺が他人の心配なんてすることはまず、ない。
けど、こいつはなぜか心配してしまう
どこか、危ない・・・そんな気がしたから。
「あんたら、普通の生徒かい?」
先頭になって走っている馬車の馬が、こちらにむかって話してきた
この馬車に、人は俺とクラトスだけ。
魔法で独自の進化を遂げた馬が、馬車の全てを担っている
つまり、科学側では人が馬に引き縄をつないで馬車を動かしているが、この魔法世界では〝馬だけで〟馬車を動かす。
そして、人の言葉も話す