第33章 黒バスキャラと体育倉庫に閉じ込められてみた。
ー黄瀬ー
「これは困ったっスね!」
『じゃあなんで笑顔なの。』
倉庫に閉じ込められたっていうのにこの男はいつものキラキラした笑顔のままだ。
『なんか存在がうるさい。』
「ヒドッ!」
でもこの状況で黄瀬が居てくれるのはありがたい。
あの明るさのお陰で不安が紛れているのは事実だ。
『黄瀬ー。』
「ん?どうしたんスか?」
『その、…一緒に居てくれてありがとう…。』
「〜〜っ!一花っち〜!!」
『っやめて!』
何を勘違いしたのか、私に向かって飛びついてきた黄瀬の顔を手で一生懸命押し退ける。
「痛っ、いだだだだっ!ちょっと一花っち、痛いっスよ〜!」
涙目で鼻の頭が赤くなってる黄瀬の顔がお世辞にもモデルとは言えないものになっている。
『っあははは!』
「何!?何笑ってんスか!!」
ー貴方の笑顔に勇気づけられる。
ー青峰ー
『……。』
暗い体育倉庫。
隣にはマイペースに眠り続ける大輝。
『だいきー。起きてよー。』
声を掛けても返事は返ってこない。
『ハァー…、っくしゅ!…さむ。』
静かな倉庫内に自分のくしゃみが響く。
すると、突然横から腕を引っ張られる。
『キャッ…!』
ポスッと音を立ててマットに沈む。
「お前、体冷てー。」
『起きてたの?』
「今起きた。」
そう言って体を強く締め付けられる。
『ん、ちょっと苦しい。』
「我慢しろ。」
ーそのまま体温を分け合う。
ー黒子ー
「これは困りましたね。」
『うん、どうしよう…。』
「とりあえずお話でもして気を紛らわせましょう。」
『そうだね。』
お互い何故か正座になって向き合う。
「そういえば一花さん、知っていますか?」
『何を?』
神妙な顔つきで実は、と話し始める黒子くん。
「この倉庫、出るって噂なんです。」
『嘘でしょ…。』
一気に鳥肌が立つ。
思わず自分の体を両手で抱きしめる。
「あ、いや別に怖がらせるつもりは無くて、」
『今更遅いよ〜!』
「すみません。」
ー貴方を想って空回り。