第1章 incontro -出会い-

｢オレの顔がどうかしたか？｣


その瞬間、私はハッとした。

彼も私の方を向いていたことにまた数秒遅れで気が付いて…。

どうしよう。

何て言ったら良いかわからない…ッ。


｢ごごご、ごめんなさい…！その、あ、あんまりかっこよくて…じゃない。あ！ちがっ…！かっこいいのはそうなんですけど、えっと、来店した時から気になっちゃって…。や、やだ、どうしよう、私何言ってーー…｣


私はお盆を持ちながら頬に手を当て目を泳がせる。

出てくる言葉が全部地雷。

自分で言って自分で爆死してる…。

墓穴掘っちゃってるけど、でも今はその墓穴でも良いから穴があったら入りたい。

滑稽過ぎて笑えないし、恥ずかしい…。


｢ありがとう。リップサービスも充実しているんだな、ここは｣


彼は頬杖をつきながらイタズラな笑みを浮かべてる。

それもかっこいい…！

じゃない！

私、からかわれてるのよ！？


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