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薬屋の譫言

第2章 口減らし


小さい体での畑仕事は
かなりの重労働で
私は夕飯も食べずに寝てしまった

揺り動かされた衝撃で
薄く目を開けると
そこにいたのは

『妈妈(ママ)…?』
「娘娘、起きてちょうだい」
『どうして?』
「いいから早く。小姐(ねえちゃん)と小哥(にいちゃん)が起きる前に」
『わかった』

今は何時なのだろう…
きょうだいはまだ夢の中
外もまだ真っ暗で
月の光を頼りに
母親の背なかを追う

「さぁ、これを持って」
『爸爸(パパ)、これ何?』
「とっておきのおやつさ。さあ、ついてきて」
『妈妈は?』
「お留守番さ。爸爸と二人じゃ嫌かい?」
『ヤじゃないよ』

父親と二人きりで
ひたすら暗い山道を行く

どこに行くんだろう
こんな夜更けに

森の薄気味悪い雰囲気も相俟って
恐怖と一抹の不安を覚えた

きっときれいな星空が
見えるところに
私だけを連れて行ってくれるのかも知れない

しかし
着いた場所は非常にも
木々が生い茂り
人など普段こないような山中にある
洞穴の前だった
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