第1章 転生
年々腰が悪くなる祖父に変わり
いつしか一人で薬屋に立ち
客を診て薬を出すようになった
たまに顔をのぞかせる祖父に叱られながら
いつの日か引き継げるように
日々勉強に励み
生薬の知識と調合の技術を磨いた
引き継ぐ意志はあったのだ
ある一人の客の運命を変えるまでは…
その客は、私が調合した薬を
私が説明した用法を守り服用した途端倒れ
そのまま意識が戻らぬまま
息を引き取った
調合した薬成分の中に
体質に合わない物があったのだ
そのため、過剰なアレルギー反応により
アナフィラキシーショックを引き起こしてしまった…
薬剤アレルギーの事は
知識としてはあったのだが
実際そういう客に出会ったことがなかった
知識はあっても何もできないじゃ
薬剤師としては失格だ
私はその事をきっかけに
店に出れなくなってしまった