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呑み込んだ言葉のお話 ( R18 ) ハイキュー

第1章 まず浮気をされた話




『徹別れよう』


ああ、こんなに呆気なく終わるんだな

目を丸くした徹を見詰めながら
そんなことを頭の隅で思っていた


「な、え?何で沙奈が居るの」

『映画、やっぱり忘れてたんだ』


私はポケットから映画のチケットを2枚出すと
徹と同じように目を丸くした女の人に
そのチケットを差し出した


『2人で観に行ってください
お金勿体無いし、
私は友人とご飯の約束あるので』

「は .. ちょ、ちょっと待ってよ沙奈」


徹が教室を出ていこうとした私の肩に手をかける
触らないで、と振り解こうとしたその時



「触んな、クソ及川」



『は、じめ先輩』

「ねえ .. どういう事?
なんで岩ちゃんと沙奈が一緒に居るのさ」

「あ?それはこっちの台詞だクソ川
なんでお前は笹川とキスしてんだよ」



あ、この女の人笹川っていうんだ
チラリと見ると気まずそうに下を向いていた
笹川さんと目が合う

綺麗に巻かれた髪と切なげな瞳

徹と同じ委員会で
よく廊下で見かけていた先輩だった


『はじめ先輩、いいんです
もう徹とは別れましたし
私は関係無い存在ですから
それじゃもう行きますね』


軽く会釈をするとそのまま教室を出る



そこからは無我夢中で走った

学校を出る時、
はじめ先輩の声がしたような気がしたけど

そんなの頭にないくらい

ただ走ってた



横断歩道が赤信号に変わって、足を止めた時



私は涙を流していた



「ねえねえ沙奈!
次青信号に変わるまで息止めバトルしよ!」

「せーの!で始めるからね」

「せえの!って .. なんで笑うのさ〜」

「笑ったからお仕置きね」

「罰ゲーム!いいじゃん!ね!」




たかが駅までの横断歩道1つに
こんなに会話があふれている




思い出したくないのに
どんどん流れてくる徹の声をかき消すように
イヤホンをつけた



泉沙奈の呑み込んだ言葉①



『あの映画を君と見た後に
仲直りをしようって
喧嘩もしてないのに言おうって思ってたんだ』
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