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氷華血鎖【鳴門】

第19章 一部・一触即発


忍ならビンゴブックくらい見た事あるだろうしイタチさんは変装なんてものはしてないから危険な訳だ。まぁそのお陰で頬の熱は治まった。



『買物中、忍に会わなかったのにね』

「一応、里ではあるからな」

『そろそろ戻ろっか』

「…そうだな」



少しだけ声のトーンが下がった気がしてイタチさんの方を見ると漆黒の双眼と目が合う。



『…?』

「何でもない。行こう」





※※※





村に戻るなり真っ先に駆け寄ってきたマツは俺とチヅルを難しい顔付きで見比べると落胆したように肩を落とす。その様子にチヅルと顔を見合わせているとトシと鬼鮫もやって来る。



「二人共お帰り!」

「荷物は影分身達が居間に置いたそうですよ」

『有難う。じゃあアタシは夕飯の用意してくるよ』

「私お手伝いする!」

「じゃあ僕はもう少し修行するからイタチ兄と鬼鮫おじさん修行見てー!」



家の中に入って行くチヅルとマツ。庭に向かって走り出すトシの後を歩いて追っていると鬼鮫が小声で話し掛けてくる。



「変わった事、有りませんでしたか?」

「変わった事?」



特には何も無かった。買物に街を回って茶屋でお茶したくらいでそれ以上は何も無い。どう言う意味だ、と視線で訴えかける。



「結界をすり抜けた人がいます」



それがどうしたと言うのだ。確かにこの一帯に張ってあるチヅルの結界は高度なものだが邪な心を持って村に来ようとしない限り誰でもすり抜けられる。



「奇妙なんですよ。乱宮島の事件の生存者はチヅルさんだけになってるハズなんですが…その方、双子の事を存じてました」

「なんだと?」

「どうやらチヅルさんを探してる様なのですがチヅルさんの事、様付けで呼んでいらっしゃいましたね」



島の沈没事件はチヅルしか生存してないが実際は双子も生存している。チヅルはSランクの札付きだから知ってる人は居て当然だが双子の事を知ってるのは我々暁以外には居ないハズだ。だがそれ以外の人間で知ってるとなると…あの事件には他に生存者が居た事になる。



「忍では無さそうですが恐らくかなりの手練。追う間も無く逃げられました」



鬼鮫相手にその場を離脱だと?そんなの一般の上忍ですら難しいだろう。
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