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氷華血鎖【鳴門】

第19章 一部・一触即発


穏やかな昼下がり。夜中に訪れた村に再び足を踏み入れた。小さな集落だが皆、仲が良く自給自足の生活をしてる村。大体、人里からかなり離れたこんな不便な場所にある老人ばかりの集落は廃れて当たり前なのだが、ここの老人達は皆健やか。



「………」



一通り村を観察してみるが変わった様子は無い。そして一人だけ膨大なチャクラを持ってた、あの白銀の髪をした女性も見当たらないしチャクラすらも感じ無い。大した情報は得られそうに無いと判断し、その場を離れようとした時だった。



「誰?」

「!?」



聞き覚えのある鈴の音の様な声。ゆっくりと振り返ると高い位置で二つに結わえた白銀の髪…そして藤色の瞳を持つ………あの方と姿が被った。



「チヅル………様…?」

「…?姉様?」

「おーい!マツー!どうしたんだー?」

「あ、トシ…何か姉様の知り合いみたい」

「姉上の?」

「…!」



同じ風貌をした男の子。姉…マツ…トシ………じゃあこの二人は前当主が死ぬ間際に産んだあの双子の赤子…?生きて…居たのか。元々持病を抱え長くは生きられないと言われていたのにこんなに大きく…って事は…昨夜のあの女性はチヅル様?



「マツとトシ…なのか?」

「「?」」

「チヅル様は!?チヅル様は何処に居る!?」



知らない事が多過ぎて知りたくて目の前に居る双子に手を伸ばす。



-ヒュッ…-



「!?」



双子に近付けさせまいと風を斬りながら振り下ろされた大刀を素早く避ける。



「結界をすり抜けて此処に居る、って事は邪な心はお持ちでは無いのでしょうが…貴方が何者か分からない限りこの子達に近付けさせる訳にはいかないんですよ」

「………っ」



此奴は…暁の干柿鬼鮫。暁が居ると言う事はあの人が言ってた事は間違いが無い。この村にチヅル様が居る。だが…干柿鬼鮫が居ると言う事はうちはイタチも居る…そうなると分が悪い。ここは引くのが賢い。



-ドロン-



「あ、消えちゃった」





※※※





『ふぅ…』



と一息吐いて向かいの店の屋根から茶屋を見下ろす。此処、湯の国は観光地だけど腐っても隠れ里。忍が居るのは当然で流石に忍に見付かるのはちょっと面倒臭い。アタシはちょっと変装してるけど双方共に札付き。
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