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氷華血鎖【鳴門】

第18章 一部・逢引


「そうなの?」

「ミツ兄はただの近所のお兄さん」

(ミツって方…可哀想ですね…)

「それにイタチ兄様だって姉様がミツ兄とお話してたら、ほんの少しだけ眉間に皺が寄るんだよ」



とマツは眉間に微かな皺を作って見せる。



「でも二人共大人だから気付こうとしないの」

(私から見ればイタチさんもチヅルさんも子供なんですけどねぇ…)

「姉様には…きっとイタチ兄様が必要。イタチ兄様に会ってないこの二年…姉様、仕事に夢中になり過ぎてるもん」

「仕事?…と言いますと?」

「姉上、何かを探してるみたいで最近、家を留守にする事が多いんだ」

「探し物…ですか………」



あ、これ鬼鮫おじちゃんに喋って良かったのかな?暁のメンバーだし大丈夫だよね。





※※※





村を出て山を降りて里が見えるまでは素早く木々を飛び伝いながら行く。着物は動きにくいだろうが移動速度は一般の忍よりも遥かに早い。通常なら半刻はかかると思われるが四半刻もかからず里が見える。里が見えてからは道をちゃんと歩くルート。



『御免ね、ゆっくりで。着物は動き辛くて』

「…いや、充分早いと思う」

『なら良かった』

「何を買うのか決めてるのか?」



うーんと首を捻る。お団子に纏めた白銀の髪の毛。目は…藤色では無く桃色。恐らくコンタクトと言うものをしてるのだろう。



『カーテンは取り付け面倒だし立てるだけで仕切れる屏風を買おうかなって』



屏風はそんなに安い物では無いと思うのだが。



『後は折角街まで来たんだし弟妹の新しいお洋服とか』



おやつも買って帰ろうかな、と指折り数えるその姿が微笑ましく感じた。



『…何で笑うの』

「すまない。姉馬鹿だと思ってな」

『………煩いよ兄馬鹿』



つん、とそっぽを向いて歩き出すチヅルの後を追う。





※※※





一通り買物を終えた頃には昼過ぎ。買物の荷物は互いの影分身に持って帰らせて茶屋で一息付く。
まぁ街に出れる機会が出来たのは有難い。夜中にアタシの結界をすり抜けた人が気になってたところだし密かに情報収集も兼ねて。でもまぁ特にコレといった情報も無く、夜中に結界をすり抜けた人も半刻もしないうちに、また結界から出たからただの通りすがりだと危惧してないのだが何故か心に引っ掛かりを覚える。
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